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bird by bird

 遺されたものの勤めが目の前に山積されている。
 蔵書も膨大だが、それは別として、まず書類の山と格闘しなくてはならない。ダンボール箱10個分くらいある。
 妻はなんでも書類を捨てないで保存する性格だったが、整理分類がとても追いつかないので、数年前からの未開封郵便物がどっさりある。
 何か書類が必要になったとき、捨てていないからかならずどこかにあるのだが、どこだか、わからない。私はよく「それじゃ、無いのと同じじゃないか」「きみの人生の半分近くは探し物に費やされているね」と、からかったものだ。

 書類の山を前にして溜息をつく妻の姿が今でも目に焼き付いている。
 そんなとき妻はいつも自分に言い聞かせるように、 Bird by bird と唱えていた。どこから手をつけたらいいか、わからないときは端から一つずつ片付けていくほかない、という意味だ。
 私は英語の格言か何かだと思っていたが、あるとき妻に聞いてみたら、高校時代にオーストラリアに留学していたときのホストファミリーのお父さんの口癖だったそうだ。
 書類の整理には数ヶ月かかるだろう。
 これが終わらないと、自分の死の準備ができない。
 もちろん自分がいつ死ぬかは神のみぞ知ることだが、自分のこれからの人生はひとえに死の準備なのだと悟ったおかげで、心が少し落ち着いた。

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